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防衛省で「自衛隊殉職隊員追悼式」(2025年10月11日)
2025年10月23日更新

遺族代表のあいさつを聞く石破首相以下政府関係者ら(10月11日、防衛省)=代表撮影
昨年9月から今年の8月までの間に公務災害の認定を受けた殉職隊員を追悼する「自衛隊殉職隊員追悼式」が10月11日、防衛省で営まれた。昨年11月に掃海艇「うくしま」の事故により殉職した隊員の母親が遺族代表を務め、「強い責任感とゆるぎない信念を持って、任務を全うした」と言葉を詰まらせながら在りし日の息子のエピソードを語った。(寉見陽平)
遺族代表「任務を全うした」
式典には遺族や石破茂首相、中谷元・防衛大臣など政府関係者ら約300人が参列。新たに慰霊碑に奉納された隊員は計30人(陸上自衛隊13人、海上自衛隊10人、航空自衛隊6人、東北防衛局1人)にのぼった。去年は32人でほぼ横ばいだ。
遺族代表のあいさつは、海自の掃海艇「うくしま」の乗組員で昨年11月の火災事故当時、火元の機械室で当直だった古賀辰徳3海曹(33)の母親が務めた。
大学在学中に突然、海上自衛官の道を志すことを決めた息子について「国防という崇高な任務に誇りを持って入隊した姿を今でも鮮明に覚えております」と語り、自衛官としての勤務を通して頼もしくなっていく息子の姿は「私たち家族にとって心の支えとなっていた」と気丈に振る舞った。
任務の都合上、なかなか実家に帰れない息子・辰徳さんの家族思いの優しいエピソードも語られた。
石破首相は追悼の辞で「防衛力の最大の基盤である隊員を失ったことは、自衛隊、我が国にとって痛恨の極みだ」として、「隊員の犠牲を無にすることなく、ご家族の皆さまの深い悲しみに寄り添うことも国家としての責務で、忠実にこれを果たしていく」と述べた。
中谷大臣は事故後の遺族に対する防衛省・自衛隊の対応について「まだ不十分で至らぬところもあり、ご納得をいただけていない点もあるが、そのお言葉をしっかり受け止め、今後ともできる限りの対応とお力添えをさせていただきたい」と強調した。
防衛省によると、戦後、自衛隊の前身の警察予備隊が1950年に発足して以降の殉職者は今回の30人を含め累計2142人(陸自1151人、海自513人、空自445人、機関33人)にも上るという。