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ロングボトム英駐日大使、単独インタビュー 空母来日で日英関係堅固に 多国間連携の重要性強調(2025年8月22日)
2025年8月25日更新
ジュリア・ロングボトム 1986年英ケンブリッジ大卒、外務省入省。日欧の大使館勤務や領事局長などを経て2021年から現職。在日英国大使館勤務は3回目で日本語も堪能。初の女性日本大使。
イギリスのジュリア・ロングボトム英駐日大使が8月22日、駐日英国大使館(東京・千代田)で朝雲新聞社の単独インタビューに応じた。英海軍の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」を主軸とした空母打撃群(CSG25)が日本に寄港したことについて「日英両国間の防衛協力の堅固さと深さを示すものだ」と強調した。ウクライナのロシア侵略や軍事活動を活発化させる中国などを念頭に多国間連携の重要性も訴えた。(聞き手・船木正尋)
2021年の「クイーン・エリザベス」以来、2度目となる英空母の日本への寄港についてロングボトム氏は「インド太平洋地域への強いコミットメントを明確に示した行動だ」との考えを示した。
さらに「作戦遂行能力の検証と、同盟国・同志国との相互運用性を強化することも目的だ」と説明した。
英軍は寄港の前に西太平洋で自衛隊との共同訓練に参加。英の戦闘機F35Bが護衛艦「かが」に発着艦する訓練を実施した。
また、中国の軍事活動やロシアのウクライナ侵略などがインド太平洋地域の安全保障環境に影響を与えている点を挙げた上で「日本とは防衛協力を深化させてきた。今後も(英軍と自衛隊の)共同活動を通じた相互運用性が高まるだろう」と期待を寄せる。日英企業間の連携では「サイバーや先端技術分野での新たな連携の機会も提供されることになる」とも話した。
日英は近年、情報保護協定や、燃料などの物資を融通する部隊間の相互往来をしやすくする「円滑化協定(RAA)」を締結するなど両国は「準同盟」として連携を強めてきた。日英伊で共同開発する次期戦闘機を含め、防衛技術の面でも協力関係にある。
多国間連携の重要性にも触れ、「8カ月間の展開中には12カ国の艦船が訓練に参加した。ここで築かれた信頼と能力が、将来的に緊密な連携協力を可能にするだろう」と話した。