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海幕長ら93人処分 川重の潜水艦架空取引 防衛省(2025年7月30日)

2025年8月7日更新

 川崎重工業が防衛省から潜水艦修理を受注した費用の一部を裏金として捻出し、海上自衛隊の潜水艦乗組員らへの利益供与に使っていた問題で、防衛省は7月30日、海自トップの齋藤聡海幕長ら93人を処分した。特別防衛監察の最終報告も公表し、「組織としての構造的な問題」と指摘した。

 処分は30日付で、監督義務や注意義務に違反したとして、斎藤海幕長を減給1カ月にしたほか、監督官73人と上司2人を訓戒、艦長17人を注意とした。

 最終報告によると、川重と下請け3社の間で繰り返された架空取引により、2023年度までの6年間で総額約17億円の裏金が防衛省の潜水艦修理費から捻出されていた。

 川重側はこの金で、乗組員らの要望に応じて修理に必要な物品や艦内で使う家電などを正規の手続きを経ずに納入していた。これとは別に乗組員や監督者13人にゲーム機などを供与していた。

 物品供与は遅くとも約40年前から続いていたとみられる。川重側も私物などの購入に充てていた。最終報告は、海自側に供与されたのは「あくまで一部にとどまる」と認定した。

 このほか、海自部隊は三菱重工業など各社と癒着し備品の提供を受けていた。

 中谷元・防衛相は同日の会見で、「国民の信頼を失墜させる行為が長年繰り返されてきた」と陳謝した。

 裏金問題は昨年7月に発覚。川重は今年3月に大阪国税局から、ほかの申告漏れも含めて6年間で約10億円を追徴された。

https://x.com/AsagumoNews52/status/1950493271454777504

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