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人材確保へ提言 退職自衛官の年金制度創設 笹川平和財団(2025年5月14日)
2025年5月21日更新
提言を取りまとめたメンバー。座長の黒江元防衛次官(中央)のほか山崎前統幕長(右から3人目)らも議論を重ねた(5月14日、東京都港区)
笹川平和財団の安全保障に関する研究会は5月14日、政策提言「防衛力における人的基盤強化に向けて」を発表した。退職自衛官を対象とした新たな年金制度の創設など処遇改善による人材の確保を求めた。研究会の座長を務める元防衛次官の黒江哲郎氏は厳しい募集環境に触れた上で、「国防と自衛隊の重要性を理解してもらい、自衛官が誇りと名誉を持てる職業にしていきたい」と訴えた。(船木正尋)
提言の主なポイント
・自衛官の特殊性を再認識し、名誉と十分な補償が不可欠
・「国家補償年金制度(仮称)」の創設
・民間の有為な人材確保ための人事教育制度の導入
・小中高大での安全保障教育の充実
・司令部でのAI活用や省人化装備の導入
・民間力で補給・整備・輸送などの後方支援を実施
提言は、黒江氏が座長を務める「安全保障の在り方研究会」で議論を重ねた。英国、ドイツやオーストラリア、シンガポールの4カ国の軍隊に関する現地調査も参考に、中間報告として提言を取りまとめた。7日には中谷元・防衛相に提出した。
提言は「国家の在り方」「国民の意識」「自衛隊の改革」の3つの視点から、▽政府挙げての社会基盤の強化も含む継続的な検討▽自衛官の特殊性の再確認▽自衛官の処遇の改善▽厳しい人口減少時代を乗り切るための自衛隊の組織改革――などの8項目から構成されている。
提言では、自衛官の処遇改善を検討する政府の関係閣僚会議について「一過性のものとせず、また、検討項目を拡大」すべきと指摘。その上で、「自衛隊を支える社会基盤の強化」を検討項目に加えるべきであると提案した。人材確保では、省庁横断的に検討するほか、施策の成果を検証することを求めた。
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