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統合作戦司令部の誕生に寄せて 3人の統幕長経験者が語る<3>(2025年5月15日)
2025年5月16日更新
第4代統合幕僚長・元空将 岩﨑 茂氏
同盟強化へ体制整備が課題
統合の問題は自衛隊を立ち上げる時から存在した。それは、旧軍の陸軍と海軍があれほど仲が悪かったという反省から、吉田茂総理は陸海空ではなく、一つの自衛隊にしようと考えていた。しかし、これを旧軍の人たちが反対し、統合の問題は先送りとなった。
2001年、中谷防衛庁長官となり、統合幕僚議長に竹河内空幕長が就任した時が転機だった。「運用だけは統合する」という話になり、2006年3月27日、統合幕僚監部が新設され、運用に関しては統合幕僚長が所掌するということになった。
それから5年後の2011年3月11日、東日本大震災が発生した。この時、初めて本格的な統合運用を開始したものの、米軍の人たちのほとんどは「できるものならやってみろ」という反応だった。米軍は1986年にゴールドウォーター・ニコルズ法が制定され、法律により統合を始めたという経緯がある。
仲たがいがあってうまくいかないことの方が多く、10年、20年やって少しずつ良くなっていったという認識があり、このような反応となったのだろう。
そのようなわけで、米軍は東日本大震災を通じて自衛隊の災害派遣における統合運用を見ていたし、米軍に比べてはるかに自衛隊の統合運用のやり方が素晴らしいという印象を彼らに与えることができた。
しかし、・・・