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防衛関連ニュース
政府 基金活用で装備移転へ 豪州向け護衛艦など10件交渉中(2025年2月4日)
2025年3月17日更新
政府は、防衛装備品の輸出を支援する「防衛装備移転円滑化基金」を活用する装備移転案件約10件について、相手国と交渉を重ねている。この中には豪州向けの護衛艦「もがみ」型(11隻)も入っている。事業規模としては約1兆7000億円以上を見込んでおり、防衛産業の活性化に加え、同志国との連携強化を図りたい考えだ。
2022年末に改定された防衛力整備計画で「防衛装備移転円滑化基金」を新設。企業が装備品を輸出仕様に改修する費用を全額補助する。
政府は23~27年度の防衛費をこれまでの1・5倍以上の43兆円に増額し、基金に2000億円を充てる。この計画にもとづき、防衛省は23、24年度の予算で基金に400億円ずつ計上し、25年度予算案にも同額を盛り込んだ。
政府は25年度の装備移転案件を約10件(補助金約1200億円)と見込む。防衛省によれば、このうち、護衛艦「もがみ」型を含む一部の大型案件だけで、企業に支払う補助金が1000億円の規模を超える。
政府は現在、入札手続きの準備や、相手国と個別に価格や仕様・性能について調整を行っている。
基金を活用した装備移転案件は、24年度のインド向け艦船用通信アンテナ「ユニコーン」(補助金約15億円)の1件が認定されたのみ。
だが、各国からは装備移転の引き合いが増加しているという。「防衛装備移転三原則」の見直しなどを背景に、現在約35カ国のほか、北大西洋条約機構(NATO)などの防衛・技術の協議相手国が日本の装備品に興味を示しているという。
石破茂首相は2月4日の衆議院予算委員会で「案件が具体化した時に、お金がないと商機を逸する」と、基金の必要性を訴えた。