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自衛隊ヘリが空中消火 各地で山火事、岩手で活動中(2025年2月~3月)

2025年3月7日更新


消火バケットで散水し、空中消火に当たる陸自のCH47ヘリ(3月1日、岩手県大船渡市)=写真はいずれも統幕提供

現場指揮本部会議に参加する自衛隊、警察、消防、自治体の関係者(2月26日、岩手県陸前高田市の小友グラウンド)

 全国各地で山火事が相次いで発生し、災害派遣要請を受けた自衛隊がヘリによる懸命の空中消火活動に当たっている。

 岩手県では2月19日正午頃、大船渡市で山林火災が発生。地元消防などによる消火活動で鎮火に至らなかったことから、同日午後6時35分、達増拓也知事が東北方面特科連隊長(岩手)の矢山善隆1佐に災派を要請した。

 自衛隊は翌20日から24日午後3時半過ぎまで、陸自9飛行隊(八戸)のUH1、陸自1ヘリ団(木更津)と空自入間ヘリ空輸隊のCH47の計5機が消火バケットによる空中消火を行い、鎮圧した。この間、陸自東北方面航空隊(霞目)のUH1が映像伝送を実施した。散水回数は計594回、散水量は約1634トンに上った。このほか、陸自隊員約50人が現場で地上支援に当たり、県庁や市役所などにも連絡要員が派遣された。

 岩手県では翌25日にも陸前高田市で山火事が発生し、26日まで東北方航のUH1が2機で計16回、約8トンを散水し、鎮圧した。

 26日は再び大船渡市で山火事が発生。翌27日から自衛隊はヘリによる空中消火を開始し、3月3日現在、1ヘリ団、入間ヘリ空輸隊、三沢ヘリ空輸隊のCH47計8機と、東北方航のUH1計2機が消火バケットに海水を汲み上げて散水を行っており、引き続き活動中だ。一方、各活動拠点では、東北方面特科連隊を主力とする約30人が地上支援に当たっている。

 同じく26日には山梨県大月市で山火事が発生。地元消防などで鎮火に至らなかったため、28日午前5時、長崎幸太郎知事が東部方面特科連隊長(北富士)の水越洋光1佐に災派を要請した。同日から3月3日まで、1ヘリ団と12ヘリ隊(相馬原)のCH47計3機と、東部方面航空隊(立川)のUH1計2機が大野ダムから取水して計78回、約354トンの空中消火を行い、鎮圧。活動を終了した。

 2月28日には長野県上田市で山火事が発生。同日午後5時、阿部守一知事が陸自12旅団長(相馬原)の前島政樹将補に災派を要請した。翌3月1日から2日にかけて、1ヘリ団と12ヘリ隊のCH47各1機、東方航のUH1が2機で内村ダムの水を汲み上げて空中消火を実施し、鎮圧した。この間、12ヘリ隊(北宇都宮)のUH60ヘリ2機が空中統制を行った。散水回数は計75回、散水量は約160トンに上った。また、13普連(松本)の約30人が後方支援に従事し活動を終えた。

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