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防衛関連ニュース
伊藤5普連長 「八甲田演習」の意義を語る(2025年2月)
2025年2月28日更新
後藤伍長像の前で伊藤連隊長(中央)が報道陣のインタビューに答えた(1月21日、青森市)
123年前の1902(明治35)年1月、近代の登山史上、世界最大の山岳遭難事故として歴史に刻まれている「八甲田雪中行軍遭難事件」。雪中行軍に参加した旧陸軍第5歩兵聯(れん)隊(青森)210人のうち、199人もの将兵が死亡した。この惨事の教訓を伝えるため、5普連(青森)は1965(昭和40)年から「八甲田演習」を実施し、今年で56回目を迎える(3面参照)。今回、5普連のトップとして、自身も演習に参加した伊藤裕一(ひろかず)連隊長に「八甲田演習」にかける思いを聞いた。(寉見陽平)
「雪中の任務遂行が抑止力に」
遭難事件が起こった当時、旧陸軍第5聯隊が八甲田雪中行軍を行った目的は、ロシアとの闘いに備えたものだった。
100年以上の時を経て、近年の日本の防衛体制は「南西シフト」に傾く中、2022(令和4)年2月にロシアがウクライナに侵攻した。改めて、北の防備が見直される中、「八甲田演習」の意義について伊藤連隊長は現下の国際情勢を挙げた。「我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中、いかなる事態にも対応できる能力が必要だ」と語る。
日本の国土面積の約60パーセントは積雪寒冷地であることから「雪深い状況でも、・・・