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防衛関連ニュース
陸自衛生学校 命を救う態勢構築 DCSなど2集合教育開始(2025年2月)
2025年2月19日更新
力武2佐(右)以下隊員が部外医療機器実習を行う(1月30日、三宿駐屯地)=いずれも衛生学校提供
航空機内で「航空後送間救護」の教育を実施する和田3佐(右から3人目)ら隊員(1月29日、木更津駐屯地)
陸自衛生学校(三宿)は、医官、看護官と准看護師の資格を持つ陸曹を対象に、「ダメージコントロール手術(DCS)」と「航空後送間救護」の集合教育を開始した。両教育は自衛隊としては初の試み。1月15日に行われた「教育開始式」では、衛生学校長の水口靖規将補が式辞を述べ、両教育は「国家防衛戦略と中期防衛力整備計画で提示された『衛生機能の変革』の取り組みの中核であり、最新の自衛隊衛生を象徴するものだ」と期待感を示した。(寉見陽平)
水口学校長 「『衛生機能の変革』の中核」
2022(令和4)年末に策定された「国家防衛戦略」では、「南西地域の第一線から本州等の後送先病院までのシームレスな医療・後送態勢を確立」することが明記された。
これを踏まえ、翌23年10月に行われた「防衛省・自衛隊の戦傷医療における輸血に関する有識者検討会」の第1回目の資料には、「DCSの教育課程の新設、航空後送間救護の訓練態勢の強化」が挙げられている。
今回、自衛隊で初めて実施されている「DCS集合教育」は、想定として敵の榴弾砲などの射程から外れた地域における「師団等収容所(後方支援連隊衛生隊)」での処置に関するもの。
医官を複数名配置し、各種検査のための資器材や血液製剤が貯蔵され、方面衛生隊などからの支援が得られる状況で、「陸自救命ドクトリン」に基づき、受傷後10分以内に適切な処置を受けた患者が後送されてきた段階が想定されている。
患者は受傷後1時間以内にDCSを受けた後、・・・