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装備庁が求める研究職人材(2025年2月)

2025年2月18日更新


母校で装備庁の研究職技官として働く魅力や、装備庁の概要について説明する森所長(昨年12月12日、岐阜県本巣市の岐阜高専)=いずれも防衛装備庁提供


=防衛装備庁提供


日米の国境を越えたF2戦闘機開発の一大プロジェクトで、その後関わったメンバーから日本では森航空装備研究所長(左から6人目)と、NASAの宇宙飛行士(右から6人目のマイケル・フィンク氏〈当時は米空軍パイロット〉)が生まれた(1994年、米フロリダ州のエグリン基地)=森所長提供


森所長は学生に「技術を理解し、ものづくりに憧れ、自分で決める強い意志を持った人は装備庁に来てほしい」と語った(昨年12月3日、石川県野々市市の金沢工業大学)


防衛装備庁研究職採用案内ページへ

 戦後、最も厳しく複雑な安全保障環境にあると言われる中、防衛装備庁は今年で発足から10年目を迎える。その間、求められる防衛装備品や防衛技術、研究開発などの動向は大きく様変わりした。特に防衛装備品の研究開発では、「従来の車両、航空機、艦船といった装備品はあっても、それに人工知能(AI)や情報工学分野の新しい技術抜きには、もはや『モノづくり』ができない時代だ」と装備庁人事官付の小林将志技官は語る。こうした情勢を踏まえ、装備庁は従来から実施する大学への採用活動に加え、高度に専門的な教育を行う国立高等専門学校(高専)などへの採用活動を強化している。今回は高専卒で、現在は航空装備研究所長の森重樹技官に装備庁が、今求めている研究職人材や装備庁の研究職技官の魅力などについて、自身の経験も踏まえて語ってもらったほか、若手の職員にも話を聞いた。(寉見陽平)

航空装備研究所の森所長が語る

防衛装備庁 航空装備研究所所長 森 重樹 技官(博士・工学)岐阜高専・豊橋技科大院卒(平成5年度入庁)

 これからの防衛装備品の研究開発では、AIや情報工学の分野、プログラミング技術をはじめとするIT分野の経験も欠かせません。

 そのため装備庁としても、若い頃からそれらの実践的な経験を積んだ学生の確保は急務となっています。

 そうした観点から装備庁では現在、中学校を卒業してから5年間一貫の技術者教育を行う「高専生」や学生が主体的に「モノづくり」を行える環境にある学校機関などに注目しており、専門的な見地から学生に対して装備庁の魅力を知ってもらうため、人事当局だけではなく、現役の研究職技官を派遣して講演や説明会を実施しています。

 昨年12月には、私も自ら岐阜高専と金沢工業大学に出向き、学生たちに装備庁の紹介や研究職技官としての魅力をアピールし、私自身がF2戦闘機の開発メンバーだった経験を踏まえた航空機の研究について説明しました。両校とも50人ほどの学生が集まり、装備庁の研究職技官の業務について熱心な質問が出たほか、母校の岐阜高専では私自身の経験を踏まえた具体的な話ができました。

 やはり学生たちは普段、装備庁の研究開発に触れることはありませんし、特に民間の会社を見学する際は、決まった製品を作っていく過程について説明を受けるだけです。

 しかし、装備庁の研究開発は新たな装備品の創製に向かって取り組む、創るものはあくまで自分たちでこれから創っていく、という説明をするので、学生には「新鮮味」があるのだと思います。

「チームで動く」大切さ

 我々はその時々で最先端の技術を取り込んで、装備品という形に創り上げなければいけません。

 そのためには1つのものを1人でつくるというのは難しいということを、ある程度知っている必要があります。

 高専生などをターゲットにしているのは、・・・

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