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海自砕氷艦「しらせ」艦長 夏真っ盛りの白銀の世界から
2025年1月20日更新
「しらせ」艦長 1海佐 齊藤一城
新年、明けましておめでとうございます。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
「しらせ」は、昨年11月20日に乗員ご家族を含め、関係各位の皆さまの盛大な見送りを受けつつ横須賀を出港してから、約1カ月半が経過しました。
横須賀出港後は、経由地のオーストラリアのフリーマントル港において補給等を実施すると共に、第66次南極地域観測隊員65人が乗艦し、12月9日に予定どおり、出港しました。
フリーマントル出港の2日後には、南極までの航路では避けて通れない暴風圏に突入しました。今次の暴風圏は、大型の低気圧と低気圧の間(かん)隙(げき)を航行することができ、近年まれにみる穏やかさで、海洋観測の支援を実施しつつ順調に南下しました。ただ、穏やかといえどもそこは暴風圏です。低気圧の余波で波高4メートル程度の海域を航行することとなり、観測隊のみならず、乗員もだいぶ体力を消耗しました。
12月15日には無事に暴風圏を抜け、針路を西にとり昭和基地へ向けて航行しました。西航中は、低気圧とすれ違う際に暴風圏並みの荒天となりましたが、それ以外は概(おおむ)ね海面状況にも恵まれ、21日に昭和基地沖の氷海へと進入しました。
南極大陸から続く定着氷の外縁にある流氷帯は、幅約200キロに及んでおり氷の密度も高く、進出距離が1日に2000メートル未満の日もあり、突破するために6日間もかかりました。
定着氷域は極めて良好な氷状であったため、・・・