創刊70年を越える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です
防衛関連ニュース
政府 処遇改善閣僚会議 自衛官の手当拡充 再就職の支援強化へ(2024年12月20日)
2025年1月9日更新
政府は昨年12月20日、自衛官の処遇改善に向けた関係閣僚会議を開き、基本方針をまとめた。若年定年制で多くの自衛官が56歳で退職する中、一般隊員の定年について2歳程度の引き上げを検討するほか、2028年度に俸給表を改定するなど給与アップを目指す。将来の不安を払拭するために、民間企業に加え、警察や消防、海上保安庁など公共部門での一層の活躍も掲げた。こうした取り組みを通じて、定員割れが続く自衛官の確保に本腰を入れる。
基本方針では、▽処遇改善▽生活・勤務環境の改善▽新たな生涯設計の確立││などを柱に据えた。
処遇改善では、給与の基準となる「俸給表」を28年度に改定し、給与を引き上げる。加えて、航空管制官など8つの手当ての新設に加え、災害派遣等手当てを含む既存の25についても金額を引き上げたり、対象を広げたりする。
若い自衛官に対しては6年間で120万円の給付金を支給するほか、自衛官任用一時金を約12万円増の約34万円にする。
自衛官の生活・勤務環境の改善も進める。駐屯地内の営舎の個室化を進め、居住区の狭い艦艇などの居住性を高める。また、艦艇の乗組員が遠洋航海中も私物のスマートフォンを使えるよう、米スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク」を27年度までに導入する。
再就職の支援にも注力する。自衛官の知識や技能、経験を生かすことができるように、防衛省は各省庁や経済団体などに退職自衛官の活用を働きかける。特に公的部門では、警察や消防、海保、地方自治体の防災・危機管理などへの採用をさらに広げるよう取り組む。民間企業については、動産や介護、警備、建設、物流など幅広い業界に働きかける考え。
自衛官の定員は約24万7000人だが、近年は約2万人の定員割れが続く。昨年度は自衛官の採用者数が募集計画の50・8パーセントと過去最低を記録。自衛官の処遇改善は石破首相の目玉政策で、昨年10月に関係閣僚会議が設置された。