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中谷大臣 新春に語る 多国間連携の推進 防衛力を抜本的強化
2025年1月8日更新
我が国の防衛トップとして3回目の登板となった中谷大臣(右)にインタビューする朝雲新聞社の中島社長(12月23日、防衛省大臣室)
昨年は防衛省・自衛隊創設70年の節目の年。そんなムードに水を差すかのように、元日に能登半島地震が発生し、防衛省・自衛隊は以後約9カ月間災害対応に従事した。さらに、気候変動による自然災害が全国各地で多発。自衛官はそれぞれの地域で「国民の命を守り」ながらも、より厳しい我が国周辺の安全保障環境を警戒・監視し、「直接および間接の侵略を未然に防ぐ」任務も担わなければならない。そのような中、自衛官の成り手不足は深刻化し、ロシアによるウクライナ侵略は開始から約3年が経とうとする中、米国と欧州との連携はトランプ政権の発足と共に不透明感が漂っている。韓国との関係も先が見通せない。混迷の時代に突入する中で、3度目の防衛トップに就いた中谷大臣に新年の意気込みと抱負を聞いた。(聞き手 中島貴広・朝雲新聞社社長)
自衛官の処遇を改善
中島社長 防衛大臣として3度目の登板はおそらく史上初のことだと思います。これまで我が国防衛のトップとして陣頭指揮に当たられてきた中で、今回3回目の任に就かれて、これまでと異なることや感じたことなどありましたらお話ください。
中谷大臣 これまでも防衛庁長官や防衛大臣として、インド洋への海上自衛隊艦艇の派遣や平和安全法制の成立など、その時々で我が国が直面する課題に取り組んできました。
昨年10月、8年ぶりに防衛大臣を拝命しましたが、これまでの在任期間と比べても、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増していると感じています。この数カ月の間にも、北朝鮮による弾道ミサイルの発射や中露の爆撃機による共同飛行など、我が国周辺での活発な軍事活動が継続しています。
こうした中で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、防衛省・自衛隊が果たす役割はかつてなく大きくなっていると感じています。
防衛大臣として、これまでの経験を生かしつつ、防衛力の抜本的強化をはじめとする各種取り組みを着実に進めていく考えです。
中島 次期トランプ政権を見据えた今後の日米関係はもちろん、木原前大臣が推し進めることを要望された「日韓関係」のさらなる関係改善など、今後の同盟・同志国間との連携に向けた展望をお聞かせください。
大臣 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、同盟国・同志国間のネットワークを有機的・重層的に構築すると共に拡大し、抑止力を強化していくことは重要です。
特に、・・・