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初の女性空音隊長 津田圭子2佐に聞く 「満開の花」咲かせるために(2024年11月18日)
2025年1月7日更新
女性初の空音隊長に着任した津田2佐。責務は「精強な部隊の育成」=11月18日、府中基地
航空中央音楽隊(府中)の隊長に9月1日、津田圭子2佐が着任し、女性初の空音隊長が誕生した。11月14日から16日まで日本武道館で開催した音楽まつりに部隊を率い、「皆にとってはルーティンでも、観客には希望と感動を与えます。琴線に触れ、人生が変わる人もいます」と訓示。広報活動のほか、式典や国際交流など年間100件以上の派遣演奏に従事する、大臣直轄部隊の指揮官に話を聞いた。(伊藤和樹)
「先駆者の使命」
津田2佐は1992年、医師を務める姉に憧れ「人を助ける仕事に就きたい」と防大に女子1期生として入校。大阪地本や幹候校の教官、厚生課長などを歴任してきた。
2005年、自衛隊遺族会航空部会「ともしび会」を日本武道館にエスコートした際、初めて音楽まつりを鑑賞。美しい音色が琴線に触れ、自然と涙が頬を伝った。以来、空音への配属を熱望し、15年以上にわたって異動願いを出し続けた。
その音色と出会うまで、自衛隊生活は苦難が続いた。防大に入校するも、先輩らの女子に対するアレルギーは想像以上で、約40年かけて作られた男の城は堅牢だった。敬礼しても答礼されず、防大生は女子学生ではなく女性が嫌いな集団だと疑うほど。失敗すれば「だから女は…」と決めつけられ、「女はいらない」と否定された。
後輩のために立派なレールを
自信を失いかけた時、指導教官から「後輩のためにレールを敷かねばならない。びくともしない立派なレールを敷くのが君たちの使命だ」と激励され、「とにかくなんでもやって見せる。男子の倍頑張って認めさせよう」と、意識が変わった。
任官後も・・・