創刊70年を越える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です

防衛関連ニュース

海自 「うくしま」で火災、沈没 隊員1人が不明 捜索に全力(2024年11月10日)

2024年11月19日更新


「うくしま」に放水する海保の隊員(11月10日)=福岡海上保安本部提供

 11月10日に福岡県大島沖を航行していた海自の掃海艇「うくしま」(43掃隊=下関、艇長・山口貴博3佐)で火災が発生し、翌11日に転覆して沈没した。乗員は38人で、2人の当直隊員のうち古賀辰徳3曹が行方不明となり、もう1人が煙を吸って病院に運ばれた。齋藤海幕長は12日の会見で「隊員の捜索に当たると共に、海保の捜査に全面的に協力する」と述べた。

 「うくしま」は木造の掃海艇で、「すがしま」型6番艇。10日は日米の掃海特別訓練(11月16~26日)に参加するため、掃海艇「とよしま」と共に鹿児島県の志布志港に向かっていたが、午前9時40分ごろ、大島の北方約2・3キロの海上付近で機械室から出火、同48分、第7管区海上保安本部に救助要請を出した。

 海保の巡視艇が「とよしま」と消火活動に当たり、いったん鎮火したものの、午後3時前に再燃。火の手がひろがり、「うくしま」乗員は「とよしま」に移乗し避難した。その後も消火活動は続けられたが、11日午前0時5分ごろ、「うくしま」は艦尾側から転覆して鎮火、同8時34分ごろ水没した。

 古賀3曹は出火当時、機械室で当直に入っており、逃げ遅れて行方不明になったとみられる。

 海自は、海幕監察官の貴田幸典海将補を長とする事故調査委員会を設置。陸自や空自の支援を受けながら、護衛艦や掃海母艦など艦艇約10隻、艦載ヘリ、遠隔操作式水中無人機(UUV)などを展開し、捜索を続けている。また、海保のダイバーも海中の艇内に入り機械室や通路などを捜索したが、19日現在、古賀3曹の発見には至っていない。

 今回の事故を受け、海自は日米の掃海特別訓練を中止にすると発表。今後は訓練に参加する予定だった米海軍のEOD(水中処分員)の協力も得ながら、捜索に全力を尽くすとしている。

最新ニュースLATEST NEWS