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「海軍兵学校長の言葉」の著者 真殿海幕副長に聞く 「歴史に必ず答えがある」

2023年9月12日更新


「この本が、人生で悩んだ時の『よすが』になれば」と語る真殿知彦海上幕僚副長(8月23日、海幕副長室)

 海上幕僚副長の真殿知彦海将が7月末に上梓した『激動の時代に信念を貫いた海軍兵学校長の言葉』(三和書籍)=写真、本紙8月10日付新刊紹介掲載=が口コミを通じて大きな反響を呼んでいる。約7年間をかけ、任務の合間を縫ってコツコツと文献史料を集め、さまざまな角度からしっかりと読み込み、語り口調の平易な言葉で著した同書には、現代にもそのまま通じる課題解決のヒントがぎっしりと詰まっている。「今日直面する課題は、歴史に必ず答えがある」と語る真殿海幕副長に、著書に込めた思いを聞いた。(文・日置文恵/写真・末武大河)

7年間かけて文献史料集め

 執筆のきっかけは、江田島の幹部候補生学校長を務めていた2016年から翌17年のこと。

 「海上防衛を担う若人たちの入口教育を行うに当たり、歴代の海軍兵学校長たちは何を考え、何を語り、何をしようとしていたのかを知りたくなり、問題意識を持って研究を始めました。訓示などを調べていくうちに面白くなり、ついに研究成果として文字に起こしてみたのです」

 そこには、珠玉の言葉の数々を「自分だけの財産にするのではなく、記録に残すことでさまざまな人に読んでもらい、人生で悩んだ時の『よすが』にしてもらえれば」という熱い思いがあった。幸い、高校時代の先輩が勤める出版社から世に出ることが決まった。

 本書は、海軍兵学校の通史を校長という切り口でまとめた初の著書だ。それは、歴代校長を主人公にした「歴史秘話」であると同時に、校長というリーダーが明治から昭和の激動の時代に何を考え、どう課題に立ち向かったかを生き生きと描き出した「リーダー論」でもある。

 読者はぐいぐいと物語に引き込まれ、歴代校長のたどった道を追体験する。反響は、自衛隊関係者や企業の幹部、研究者や歴史ファンからだけではない・・・

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