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朝雲寸言

 

 今年の秋分の日は9月23日。天の赤道と黄道(太陽の軌跡)が1年に2回交差する日が春分と秋分の日である。この日太陽は真東から上り真西に沈む。

 十数年前に都心に住んでいた頃、早朝のジョギングで足を延ばして靖国神社に参拝に行くことがあった。秋分の日、秋の気配が感じられる街路樹を眺めながら九段下まで来ると朝日に映える大鳥居が見えてくる。

 日本の神社の多くは南向きに作られることが多い。そのため鳥居も参道も南向きとなるが例外的に靖国神社は東に面している。午前6時の開門と同時に参道が朝日に照らされて輝く時間帯がある。

 朝のジョギングの折り返し点、給水ポイントとして訪れただけの不信心者の身にも靖国神社が持つ静けさと荘厳さはわかる。早朝の開門と同時に参拝を終えた人々が歩いている。帽子を取り一礼して鳥居をくぐり、参道の左端を歩きながら手水(ちょうず)舎で両手と口をすすぎ身を清めて水分補給、平素の感謝を込めて参拝する。

 秋分の日を過ぎると日照時間は次第に短くなり季節は本格的な秋へと移行する。と言いたいところだが、関東以西はしばらく真夏日が続くようだ。

 野外での任務遂行や訓練が本旨である自衛官にとってここ数年の猛暑の夏は長く厳しいものであったに違いない。

 令和8年度の概算要求における防衛関係費は過去最大の8兆8千億円余りとなった。「実りの秋」というにはまだまだ早い。

(2025年9月25日付『朝雲』より)

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