創刊70年を越える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
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朝雲寸言
自民党は1955年、日本民主党と自由党が合流して結成された。左右社会党の統一に対抗するためだったが、内輪もめばかりで、当事者たちも「10年もてば」と嘆くほどだった。
正式名「自由民主党」は2つの党名を合体しただけと思っていたら、実は公募方式が採られたという。最多は「日本保守党」だったが、「選挙ウケしない」と議員らに不評で、自由と民主主義の理想をうたった名称が採用された。そのおかげか、世界でもまれな長期政権を実現する。
政党の離合集散が激しい昨今はこんな問題も。立憲民主党と国民民主党は共に旧民主党を源流とし、衆参比例区の略称は同じ「民主党」。有権者には紛らわしいが、広く浸透しているから双方譲らない。ご苦労なのは各地の選挙管理委員会で、選挙のたびに各々の有効票の割合に応じて「民主党」票を割り振っている。
7月の参院選では参政党など新興勢力が躍進する一方、自民党などの老舗は軒並み苦戦した。中でも「がけっぷち」だったのが社会民主党(社民党)だ。旧社会党の流れをくむ名門だが、今回、得票率が2%を切れば公職選挙法上の政党要件を失うところだった。
知名度の高いラサール石井氏を比例に擁立し、2・06%とかろうじて暖簾(のれん)を守った。「有権者が『社民党よ、残ってくれ』と願ってくれたから」と福島瑞穂党首。
自民・社会中心の「55年体制」成立から70年。多くの政党が生まれては消えていく。そんな多党化時代の幕開けである。
(2025年9月4日付『朝雲』より)