創刊70年を越える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
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朝雲寸言
陸軍と海軍の仲が悪いという話は昔からよく言われたことである。しかし両者の仲が悪い理由を論理的に説明するものは多くない。
我が国の場合、それぞれの生まれが異なっている。旧陸軍の起源は薩摩・長州などを中心とする倒幕軍であり、旧海軍の起源はペリー来航後に創設された長崎海軍伝習所である。
数度の戦争を経て、組織が大きくなり限られた国防予算の配分を巡って対立していたことも不仲説の一因と言われている。戦場の違いにより兵器体系が異なるのは当然だが、用語も異なれば数字や時刻の呼称も異なっていた。
米国では19世紀末の米西戦争以来、統合の必要性が叫ばれていたが1986年のゴールドウォーター・ニコルズ法の成立まで多くの年月が必要だった。
そんな統合における先輩ともいえる米軍が日本の統合作戦を見て驚きの声を上げたという。東日本大震災での統合任務部隊の災害派遣時のことである。統合作戦が基本とされてわずか数年、こんな短期間でどうやって日本は統合の実を上げることができたのかと。
その答えのひとつは教育、すなわち「人」である。それをもっとも象徴する組織が防衛大学校であろう。2年生から訓練課目が分かれるものの防衛大学校では学業と生活は陸海空混合で行われている。
本年3月末、陸海空の作戦を一元指揮する統合作戦司令部が創設された。なぜ今なのか。あえてそれには触れないでおく。
(2025年7月10日付『朝雲』より)