創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です

朝雲寸言

 

 加工食品会社6社が、従来は個別にしてきた配送業務を一本化する。共同倉庫を設け、各社の段ボール箱の同じ位置に検品情報を記載する方式に統一し、各社の商品を一台のトラックで同じ商店まで運ぶ。運転手の減少が限界点を超える「物流の2024問題」を乗り越えるのが目的だ。

 一つの業種に過剰な数の企業がひしめけば、結果的にさまざまな無駄が生じてしまう。今後は、同業者間の協力から企業の合併・集約に歩を進め、浮いた人材を他分野で活用するという問題意識も持ちたい。バブル期に比べ金融機関は集約されたが、例えばテレビなど「こんなに多くのチャンネルが本当に必要なのか」と思う業種もある。

 北欧のフィンランド(人口550万人)やエストニア(同133万人)は、情報技術(IT)を生かした国づくりを進めている。日本のマイナンバーカードに相当する個人識別カードで実にさまざまなことができる。根底には、社会の無駄を極限まで減らし、国富を稼ぎ出す産業や、ロシアに抗する国防体制に必要な人員を確保しようとの強い意志がある。彼らにとって同カードは国防とも不可分なのだ。

 翻って日本をみると、マイナカードはすっかり政争の具になってしまった。日本の守りの改善に熱心とは思われない人々が今日も「マイナカード返納」の旗を振っている。現状に危機感を持ち、企業や北欧諸国から「人材配分の効率化」を学びたい。

(2023年8月17日付『朝雲』より)

最新ニュースLATEST NEWS