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ブックレビュー

第二次世界大戦(四) ~戦いの諸側面~ 軍事史学会編


 第2次世界大戦の終結から80年を迎えた今も、世界で戦火が続いている。特に「ロシアによるウクライナ侵略」と「ガザ紛争」という新たな戦争の生起と展開が、過去の戦争の見方にどのような視点を提供するのか――。

 本書は、国内外の第一線で活躍する研究者から寄せられたオリジナリティーあふれる論文16本のほか、戦史史話や史跡探訪、書評7本を収録した総合論集だ。

 「戦いの諸側面」という副題の通り、大戦の前史から戦いの様相、戦争終結から戦後の活動に至るまで、戦後80年の視点から鋭く考察しているのが大きな特徴だ。

 本書は「第二次世界大戦」シリーズの4巻目。これまで本題はそのままに、副題を変えて刊行されてきた1巻目「発生と拡大」(1990年)、2巻目「真珠湾前後」(91年)、3巻目「終戦」(95年)――と比較しながら、ようやく30年を経て刊行された本書を読むと、さらなる研究の広がりを感じると共に、新たな発見があるだろう。真摯(しんし)で丹念な歴史の見つめ直しの中に、混沌(こんとん)とした今を読み解く知恵が隠されている。

 (錦正社刊、4,400円)

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