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ブックレビュー
絶対「謝らない人」 榎本 博明著

いつぞやか、「鈍感力」や「他責思考」なんて言葉がはやり、あまり自分のことを卑下するなと言わんばかりの風潮となったり、それが今や「発達障害の一種だ」とか「アスペルガーだ」など「障害」として捉えられたりしてしまうご時世だ。
本書は題名の通りである。「謝らない人」が「最近増えてきているように感じる」と著者は言う。
なかでもネット上におけるタレントやインフルエンサーなどの発言は「いろいろな詭弁(きべん)を弄(ろう)し、自分に対する批判に対決姿勢を示すことで、さらにネット上で支持者を獲得していく」。
その結果、「もともと追及されていた自身の責任や謝罪はうやむやになることが多い」という指摘は大いにうなずける。
本書は絶対に「謝らない人」の具体的事例を分析し、その背後にある心理メカニズムを解説する。
「謝らない人」のさまざまな具体例は、日常では他人と触れ合わざるを得ない我々にとって、身近にいる誰かを思い起こすと同時に、自らも誰かにそう思われているかもしれないという戒めにもなる。
(詩想社刊、1,155円)