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ブックレビュー

自衛隊の海外派遣政策の「変容」 浦上 法久著


 著者は防大准教授(2陸佐)で、ハイチや南スーダンなど国連PKO(平和維持活動)を含む自衛隊の国際平和協力活動の最前線を歩んできた第一人者。

 主に▽湾岸危機▽カンボジアPKO▽ルワンダ難民救援▽東ティモールPKO▽イラク派遣▽南スーダンPKO▽インド太平洋地域における能力構築支援――など幅広く考察し、自衛隊がこれらの海外任務に「いつから」「なぜ」「どのように」携わることになったのかを明らかにする。

 本書は横浜国立大学に提出した博士論文を一般学術書として加筆修正したもので、副題は「規範に媒介される利益とパワーの追求による国家行動」。

 冷戦後の日本の自衛隊海外派遣政策の変遷を、「冷戦の終結」「非伝統的安全保障の台頭」「国際規範の変化」といった大きな流れと結びつけながら、安全保障における日本の役割拡大の足跡を丁寧に読み解いていく。

 著者は本書の執筆について「過去の教訓をどう生かすのか、政策面や運用面での研究を進めることが必要だ。学術と政策の実践とを架橋する一助となれば」と記している。

 (芙蓉書房出版刊、5,500円)

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