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ブックレビュー
人生というクソゲーを変えるための仏教 ネルケ 無方著

書名からして挑戦的だ。ドイツ生まれの著者は、高校時代に「坐禅(ざぜん)」に出会ったのをきっかけに来日し、仏道を志した異色の経歴の持ち主。
「仏教を一言で言うと?」――。
著者はこう答える。「仏教は、人生というゲームを降りることを教えている。そのゲームを降りることから、仏教がスタートする」と。さらに「生きるということは、なんらかの形でゲームに参加していることを意味する」と言う。
人生がどんなに「クソゲーム」だとしても、「プレイの仕方を変えることによって、ゲームの内容も変わる」と説く。
自己否定や逃避ではなく、「しょせんはよくできたゲームの中のリアリティー」をどう受け止め、どう生きるか。その問いに、仏教は意外なほど実践的なヒントを与えてくれる。宗教書というより、人生の攻略本として読むべき一冊だ。
「仏教もまた一つのゲームに過ぎないのでは? いや、ゲームに過ぎない(だからつまらない)と思わず、ゲームだからこそ楽しい! と思ってもらいたい」
(春秋社刊、2,200円)