創刊70年を越える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です
ブックレビュー
アラート 真山 仁著

トランプ米大統領、台湾有事、「北」の挑発――。今そこにある「リアルな危機」から、この国の未来を守るのは誰か。安全保障を「税」から問う長編ポリティカル・フィクション。
政権は5年間で防衛予算倍増を掲げたものの、財源問題の出口は見えない。防衛省はこれを機に設備増強を主張し、財務省は財政規律を譲らない。政治家たちは選挙を恐れて増税に及び腰だ。
頼みの在日米軍が対中国に重心を移そうとする中、台湾軍の潜水艦と日本の漁船による衝突・沈没事故が起きる。現場に集結してきたのは、中国海軍の艦船だった。この危機に、北京滞在中の与党総務会長・都倉響子はどんな決断を下すのか。
著者は自身のHPで「台湾有事や米中戦争危機が叫ばれる一方で、日本の自主防衛の必要に迫られた昨今の状況の中、『国を守るための増税は可能なのか』というテーマを掲げ、政治家の覚悟、米中の思惑との向き合い方を織り込み、緊迫感を張ったエンターテインメントを目指した」と作品への思いを語っている。
(新潮社刊、2,200円)