創刊70年を越える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
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ブックレビュー
創作のためのミリタリー&ウェポン用語辞典 渡邉 陽子著

フィクションの軍事描写は、作品に臨場感と説得力を持たせるために欠かせない要素だ。しかし、専門用語から兵器の性能や組織編成に至るまでを正確に把握するのは難しい。こうした中、本書は約800の軍事用語を収録している。
前半では、中世から世界大戦、冷戦、現代までに流行した携行品や兵器の特徴を解説し、時代ごとの主力装備品とゲームチェンジャーを一目で確認できる。加えて、階級や部隊編成のほか、通信文例や略語も掲載。
自衛隊からは、「脱靴(だっか)許可」「半ば左向け左」といった営内生活にまつわる言葉も収められており、隊員同士のやりとりや日常風景の描写に生かせる。
後半では、特殊部隊の概要をはじめ、電子戦の様相や各国の諜報機関が担う役割までを網羅した。読むだけでスパイ映画の世界観を自然と想像できる構成となっている。
さらに、世界を震撼(しんかん)させた主な事件と出動した部隊名が記されており、架空の事案にどう対処しうるか、プロット制作にも生かせる。シナリオライターや同人作家の発想を助ける一冊。
(玄光社刊、2,420円)