創刊70年を越える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です

　ウクライナ戦争などで注目を浴びている軍用ドローン。近年、戦場における無人航空機（ＵＡＶ）の存在感が急速に高まっている。

　著者の２人は、有人・無人航空機の専門家。原書は軍関係者の査読者の意見を取り入れて完成させたもので、無人機の技術と運用に関する知識が同時に学べる内容となっている。

　訳者の嶋本氏は元陸将補。在任中からドローン要員育成や利活用、民間団体との連携に携わってきた。現在はドローン分野の専門家として活躍。日本の読者にも理解しやすいように章構成を再編した。

　技術的な専門用語を極力排し、軍用ドローンの基本理論から運用方法まで、複雑な技術的事項を誰にでも分かりやすい言葉で説明。前提知識がなくとも読み進められる構成は、初心者にも心強い。

　特定の国の事例に偏ることなく、世界各地の軍事ドローン事情を俯瞰（ふかん）的に紹介。技術の進化とともに変化する戦術・戦略の潮流を理解する上でも有益だ。自衛隊関係者はもちろん、安全保障分野に関心を持つ読者にとっても、軍用ドローンの「今」を知るための格好の入門書といえるだろう。

（芙蓉書房出版刊、２７５０円）