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ブックレビュー

激動の時代に信念を貫いた 海軍兵学校長の言葉 真殿 知彦著


 著者は、海自の幹部候補生学校(江田島)と幹部学校(目黒)の両校の学校長を務めた海上幕僚副長の真殿知彦海将。

 近代国家建設に当たり、独立の礎となる軍隊の創設が急ピッチで進められた明治から昭和期にかけ、海軍力の基盤となる人材育成を担っていた歴代の海軍兵学校長は何を語り、何を成そうとしていたのか。その言葉と行動を紹介しつつ、激動の時代のリーダー像に迫る。

 例えば、▽「荒れた学校」だった兵学校を引き締めた「親分校長」の中牟田倉之助校長(第2代)▽鉄拳制裁を禁止した鈴木貫太郎校長(第30代)▽「ゆとり教育」を行った永野修身校長(第35代)▽校長室から歴代海軍大将の写真を外し、戦時下に英語教育を続けた井上成美校長(第43代)――。

 このほか、校長ではなかったものの、勝海舟や榎本武揚、東郷平八郎、秋山真之、山本権兵衛といった人物の個性あふれる側面も紹介されている。

 リストラ、校内暴力、外国人教師の招聘(へい)、地方移転、ゆとり教育、英語教育など、現代にも通じる課題解決のヒントがこの1冊に詰まっている。

 (三和書籍刊、2750円)

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