創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
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ブックレビュー

空から提言する 新しい日本の防衛 織田 邦男著


 元航空支援集団司令官で元空将、退職後は安全保障問題の専門家として活躍してきた麗澤大学特別教授の著者が、これまで発表してきた論考に加筆・修正を加えたのが本書。「自ら国を守ろうとする気概のない国民を誰も守ってはくれない」「本気で平和を維持したいなら、本気で戦争について考えよう」と帯に記されたように、安全保障についての国民の基本的な姿勢に訴える。

 中国、ロシア、北朝鮮と国境を接し、世界で最も核弾頭数が急増している東アジアに位置する日本。連日メディアを賑わせるウクライナ戦争などの報道を通して、国民の危機意識は高まってはいるものの、長年タブー視されてきた国防についての基本的考え方や姿勢はいまだ常識となるには程遠い。

 本書では戦闘機パイロットとして国防の最前線にいた著者が、日本を取り巻く戦後最悪ともいわれる安全保障環境に根差す数々の問題と我が国の現状、それに対して日本がとるべき対策を提言。自衛官としての自らの体験を交えて日本人の覚醒を促す。

 明確な立場からの主張は論旨も明確だ。本書の読みやすさはそこに起因する。安全保障の入門書に最適だといえる。

 (ワニ・プラス刊、1870円)

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