創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
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ブックレビュー

いま本気で考えるための 日本の防衛問題入門 小野 圭司著


 そのタイトルの通り、日本の防衛・安全保障に関する全てのテーマを網羅し、あらゆる疑問に簡潔明瞭に答えていく待望の入門書だ。

 ロシアによるウクライナ侵略をはじめ、中国や朝鮮半島情勢、台湾有事、日米同盟、安保3文書、防衛費増額の背景、防衛産業が抱える問題、宇宙・サイバー・電磁波、AIからSNS戦に至るまで、古今東西の歴史と教訓を織り交ぜながら、今起きている事象の本質を鮮やかに解き明かす。

 著者は軍事・戦争の経済学を専門とする防衛研究所の特別研究官。京大経済学部卒業後、住友銀行を経て研究者に転身した異色の経歴の持ち主で、その経験を生かした経済的側面からの切り込みは他に類がなく、秀逸だ。

 全てに裏付けとなる具体的な数値やデータが示されていて、高校生から読める入門書でありながら中身は実に濃く、知っているつもりの大人でも「目から鱗(うろこ)」の連続だ。

 本書で新たな視点と考え方の基本を身に付ければ、日本社会の課題がクリアに見えてくるだけでなく、将来への備えにも大いに役立つだろう。

 (河出書房新社刊、1672円)

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