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ブックレビュー

国の守りと自衛官の矜持 備えに隙はないか 千葉 德次郎著


 元陸将、元北方総監で、退官後は現職隊員向けのボランティア講話などを精力的に行っている著者が、各地で隊員たちに語りかけてきた内容を基に書籍にまとめたのが本書。現職時代の豊富な経験に裏付けられた国防の心得を、話し言葉で読みやすくまとめている。

 国を守るとはどういうことか、古代から中世、近代に至るまで、先人たちはいかにして国を守ってきたか、さらに戦後の自衛隊の歩み、その使命と隊員教育などについて、平易な言葉で淡々と語られる。幹部自衛官としての自身の経験、知見などを例に、一つ一つのエピソードを丁寧に語りかけていく印象を読者に持たせる。

 キーワードは「隙のない備え」。隊員の心に隙はないか、家族や国民との間、日米同盟に隙はないか。それぞれのレベルで隙のない密接なつながりを持つことが、国家の「隙のない備え」に結び付くことがよく分かる。

 著者が巻頭に挙げたエピソードは特に印象的だ。ある駐屯地で隊員に「自衛官とは何かを子供にどう説明するか」を尋ねた際、ある2曹の答えに衝撃を受けたという。彼は自身の3歳の息子に「自衛官はアンパンマン」だと答えた。なぜか。答えは本書で詳述される。

 (明成社刊、990円)

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