創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です

　ビジネス書の多くは「リーダーシップ」について論じたものがほとんどだが、組織の８割を占める部下の「フォロワーシップ」の在り方を解説した本は多くない。本書は元呉地方総監で金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授の伊藤俊幸氏が、自身の経験と研究に裏付けられた「参謀」論を優しく説いた１冊だ。

　現役時代、ＲＩＭＰＡＣ演習に潜水艦の艦長として参加し、たった１隻で米艦１５隻を全艦撃沈したという伝説を持つ著者。呉総監時代には「呉海自カレー」を定着させた実績も持つ。

　そうした実績の多くは部下たちのおかげだったと振り返る。部下の多くが特別な才能を持っていたわけではないだろう。本書ではリーダーであり、フォロワーでもあった著者が、ほんのちょっとした気づきや工夫で、誰でも上司や会社に信頼される部下になれるメソッドをまとめている。

　フォロワーシップとは「部下自ら頭を使い、積極的に上司の意図を理解し、上司に意見を述べたり、働きかけたり、補佐したりできる部下の在り方」を言う。

　そんな立派な部下になれるのか。それがそれほど難しいことではないことが分かる。組織人必読の一冊だ。

　（双葉社刊、１８７０円）