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ブックレビュー

ウクライナ戦争と激変する国際秩序 森本 敏、秋田 浩之編著


 ロシアによるウクライナ侵略戦争については、テレビや新聞などであらゆる情報が報道されている。こうしたさまざまな断片情報をどう組み合わせて分析すればいいか。本書では各分野を代表する専門家たちの解説により、その手掛かりを得ることができる。

 元防衛大臣の森本敏氏、日本経済新聞本社コメンテーターの秋田浩之氏の編著で、小泉悠、高橋杉雄、倉井高志、小谷哲男、長島純、水無月嘉人、小山堅、佐藤丙午、小原凡司の各氏が各章を執筆している。

 冒頭でロシアのウクライナ侵略の意味合いと影響について、さまざまな角度から概観。次にロシアとウクライナそれぞれについて考察した後、米国とNATOの現状について、対中戦略を交えて分析する。

 後半は経済制裁、エネルギー情勢、核問題といった横断的なテーマにも切り込むほか、日本、中国にも焦点を当てる。日本については対露政策の失敗を検証し、日露の敵対関係の深まりが日本に及ぼす影響を考察している。

 最後に執筆者の一部による座談会を収録し、一連の分析を総括。テーマが多岐にわたり、ウクライナ戦争を総合的に理解するための格好のテキストとなっている。

 (並木書房刊、2970円)

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