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ブックレビュー

大発見の舞台裏で! 宮坂 力著


 「僕は特別に化学が好きというわけではなかった。かといって、第一志望に建築とは書けないしで、あえて『応用化学』と書きました」――。本書は日本発の新技術「ペロブスカイト太陽電池」の誕生秘話に迫ったノーベル賞最有力候補者による初の著作。

 薄くて軽いフィルム状のペロブスカイト太陽電池は次世代太陽電池の大本命と言われ、フレキシブルな形にでき、印刷技術を使って簡単に作ることが可能。発電効率がとても高く、社会実装されれば街全体が分散型発電所になることも夢ではないという。

 いま世界で実用化競争が激化しているが、開発当初は性能が悪く関心を持つ人はいなかった。どうやって世界的に知られる大逆転を収めたのか。そのドラマチックな展開と研究開発の舞台裏を明かすとともに、決してエリートではなかった自身のでこぼこ道を語る。大学卒業後は富士フイルムで研究生活を送り、常に「新しいもの」「面白さ」を追求した研究一途の人生が「ペロブスカイト太陽電池」という形で大きく結実した。

 どこか親しみを感じる著者による、知識が豊かになる一冊だ。

 (さくら舎刊、1650円)

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