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ブックレビュー

中国・三峡ダムを攻撃せよ! 令和パールハーバーの果てに 薗田 嘉寛著


 9年前のきょう、日本のステルス戦闘機F3テンペストの部隊がインド東部からミャンマー上空を経て中国領内に侵入し、長距離ミサイルで三峡ダムを空爆しました――。

 舞台は2030年代末の中国。台湾有事が勃発。日本生まれの中国青年・李二郎による独白体の淡々とした語り口で物語が進行する。

 二郎の趣味は飛行機の撮影。中学・高校時代は日本で自衛隊の航空祭を楽しみに過ごした。18歳で中国本土に渡り日本語教師をしていたが、三峡ダム決壊により失職。航空機オタクが功を奏したのか、利用されたのか、人民解放軍の大連総司令部で翻訳や通訳の仕事をすることに。

 「専守防衛」が国是だったはずの日本の自衛隊がなぜ攻撃を行うことになったのか。あえて日本の最悪の状況に踏み込んだという。詳細な軍事関連描写でリアリティーに厚みを持たせていく。

 30年以上弊紙「朝雲」を下支えし2016年から昨年まで編集長を務めてきた著者が描く近未来ディストピア軍事小説。

 (えにし書房刊、2200円)

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