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ブックレビュー

ウクライナ戦争 小泉 悠著


 大戦争は、歴史の彼方になど過ぎ去っていなかった――。

 2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し、第二次世界大戦以降、最大規模の戦争が起きている。国際世論の非難を浴びながらも、かたくなに「特別軍事作戦」を続けるプーチン大統領、国内にとどまりNATO諸国の支援を受けて徹底抗戦を続けるゼレンスキー大統領。

 なぜ起きてしまったのか、これはどのような戦争なのか、日本を含めた今後の世界にどのような影響を及ぼすのかを問いながら本書は進んでいく。

 テクノロジーの進化や社会の変化によって、闘争の方法はさまざまに「拡散」していく。大規模な軍隊同士の暴力闘争という最も古典的な闘争形態が消えてなくなることを意味していたわけではなかったと著者は説く。

 本書は第1、2章では戦争に先立つ1年間に焦点を当て、3、4章は開戦からの7カ月間の戦況を概観し、5章で考察を展開する。ロシアの軍事・安全保障が専門で、軍事研究者の著者による書き下ろし。

 (筑摩書房刊、946円)

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