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ブックレビュー

武器になる状況判断力 上田 篤盛著


 元防衛省情報分析官の著者が、ビジネスを含むさまざまな場面に応用できる論理的思考と直感的判断の組み合わせによる状況判断法を解説する。

 現在、米軍では論理的思考の「米軍式意思決定法」と、直感的判断を重視する「OODA(ウーダ)ループ」を併用して指揮官が総合的に状況判断する。

 「米軍式意思決定法」は任務分析(任務の理解)、状況の把握および彼我の行動方針、各行動方針の分析、各行動方針の比較、結論の5つの段階からなり、全般作戦計画や戦略に対応。「OODA」とはObserve=観察、Orient=状況判断、Decide=決定、Act=行動の頭文字で、作戦の実施や戦術に対応する。米軍では海兵隊がドクトリンとして1989年に採用した。

 本書ではこれらを使い分けながら最良の状況判断をする方法を平易に解説。さらに組織マネジメントのあり方や思考力や直観力の養成などについて具体的な「問い」を設定し、状況判断力を高めるための両ツールの活用法をマスターさせる。

 合間には状況判断力が生かされた歴史的事例を紹介するコラムを掲載。ウクライナ戦争の展開を状況判断する付録も必読だ。

 (並木書房刊、1760円)

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