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ブックレビュー

海軍カレー物語 その歴史とレシピ 高森 直史著


 海軍史・海軍料理研究家で管理栄養士でもある元海自1佐の著書「海軍カレー伝説」を文庫化したもの。

 「海の上で生活する海軍では、曜日を明確にするために毎週金曜日の昼食はカレーだった」「海軍がカレーのルーツだ」「海自カレーは海軍からの伝承」などと言われるが、これらは真実なのか。

 ちまたで流布されることの多い「伝説」の間違いをはじめ▽戦艦大和ではどんなカレーを食べていたか▽陸軍との作り方の違い▽健康食としてのカレーの価値――などさまざまな視点から描くエッセーだ。

 現在のように、四角いチョコレートタイプの既製品のルウの素がなかった時代に、カレー粉から300人分以上のカレーを作る。

 著者が海軍の主計兵や下士官出身者から聞いた、ジャガイモの煮え具合を見る、ちょっと手荒だが理にかなった方法をはじめ「塩が安いナ」と言われたら塩の入れすぎを意味していることなど、当時のエピソードを紹介している。

 随所に「一口メモ」として余談を交え、海軍カレーを取り巻く食文化と海軍の体質の一端を伝えている。

 (潮書房光人新社刊、913円)

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