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ブックレビュー

日本人のための 台湾現代史 国際時事アナリスツ編


 現在、世界で次なる大戦争があるとすれば台湾海峡ではないかと言われている。中国軍が台湾に侵攻してくるならアメリカが対応の判断を迫られるだけでなく、日本もまた大きな決断をしなくてはならないだろう――。

 毛沢東による「中華人民共和国」と蒋介石が率いてきた「中華民国(=台湾)」は、共にソ連をルーツとする中国人による一党独裁国家で、共に国家の上に党があり、監視国家、民主主義を徹底し、共産主義か反共産主義かの違いはあれどよく似た国家だった。

 しかし、蒋経国(蒋介石の子)が実権を握るころから、蒋経国は自らを「台湾人」と認識するようになり、監視国家を緩めていく。蒋経国の死後は、台湾は中国とまったく別の道を歩み始め、21世紀になるとさらに遠ざかり、民主化された台湾の住人は自らを「中国人」とは思わなくなっていった。

 この本では、台湾が“台湾人の国”となるまでの台湾現代史をコンパクトにまとめた。台湾現代史を知ることは、中国を知り、日本が置かれた立場を知ることでもあり、また日本が東アジアでいかに強く生き残るかを考えさせられるものでもある。

 (河出書房新社刊、792円)

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