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ブックレビュー

終わりなき戦争紛争の100年史 六辻 彰二著


 ロシアのウクライナ戦争発生から約10カ月。いまだに終結の見通しがつかない中、戦争はなぜ繰り返されるのか、改めて考えた人は多いのではないだろうか。本書では約100年間に発生した88の戦争や内戦、大規模な政変などを取り上げる。戦争が起こる理由や拡大傾向、終結の成否を描き出し、戦争を「正しく恐れる」ための情報を伝える。

 まず第1、2次大戦の発生経緯やその戦いの詳細について言及。続いてアメリカを中心とする西側陣営とソ連(現ロシア)などの東側陣営の「冷戦」を取り上げ、対立構造が各地で紛争を引き起こす様相をつづる。

 このほか植民地主義の犠牲になった国々の紛争や冷戦後噴出した民族・宗教対立、2001年の米国同時多発テロに代表される対テロ戦争についても詳述。最後に中国が実効支配を行う南シナ海問題など現代の紛争の実態を解説する。

 100年の歴史の中で、いかに世界各地で多くの戦争が発生したか、その要因も多様であることを痛感させられる。本書を読み、戦争の現実と向き合うことで、国際政治の実態を理解できるだろう。

 (さくら舎刊、1980円)

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