創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です

ブックレビュー

グローバリズム植民地ニッポン ―あなたの知らない「反成長」と 「平和主義」の恐怖― 藤井 聡著


 1990年代から四半世紀――。日本国民の賃金は一向に伸びず、欧米をはじめシンガポールや韓国よりも賃金(大学初任給)が低い、貧困国家となっている。他の主要国が成長し続けている中、日本だけ経済規模が縮小している。

 深い原因は「平和主義」「反成長」にあり社会的・文化的特徴を喪失してしまい、アイデンティティーが失われてしまう途上に日本があるという。

 著者は植民地支配され、過去に滅び去って行った国々と同じような状況に日本は置かれていると、歴史を振り返りながら論じている。そして今、合法的に搾取していく経済侵略という新しい形の「植民地支配」「新・帝国主義」にさらされていると具体例を挙げて丁寧に説く。

 成長なき国をアメリカが守る理由やメリットがどこにあるのか。中国との間で緊張が高まり続ける尖閣諸島などで有事が起きても明け渡すことになりかねない。米中の「グローバリズム植民地」になってしまう。

 「滅び去る」ということを明確に、はっきりとイメージできればできるほどに、より長く生き残ることができる。危機意識なき民族は滅び去るほかないと警鐘を鳴らす。

 (ワニブックス刊、968円)

最新ニュースLATEST NEWS