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ブックレビュー

デジタル国家ウクライナは ロシアに勝利するか? 渡部 恒雄、長島 純、熊野 英生、 田中 理、柏村 祐著


 発生から約9カ月が経過したロシアによるウクライナ侵攻。2014年のクリミア併合の際にサイバー攻撃で敗れた教訓を生かし、デジタル国家として変貌を遂げたウクライナ。その現状を元空自幹部学校長の長島純氏を始め、各分野を代表する専門家たちが国際政治、軍事、テクノロジー、世界経済、欧州地政学の視点から読み解く。

 まず笹川平和財団の渡部上席研究員がウクライナ戦争への米国の戦略観と国際秩序の行方を論じ、続いて長島元空将がウクライナで繰り広げられるハイブリッド戦について解説する。

 さらに第一生命経済研究所の柏村主席研究員がサイバー空間の戦いなどについて詳述し、同所首席エコノミストの熊野氏が経済的観点から今後生じる制裁の問題点について記す。最後に、同研究所主席エコノミストの田中氏が地政学から予想されるウクライナ戦争による欧州の変貌を論じる。

 巻頭にはウクライナ副首相兼デジタル変革相のミハイロ・フェドロフ氏のインタビューも掲載するなど、タイムリーな内容は必見。ウクライナ情勢について知識を深められる一冊だ。(日経BP刊、2200円)

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