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ブックレビュー

大失敗 から生まれた すごい科学 齋藤 勝裕著


 科学の歴史は計り知れないほど長いが、産業革命を契機に膨大な発見・発明が繰り返され、科学史に多くの人名と業績が並ぶようになった。

 しかし、最初からその人が意図して発明した業績ばかりではなく、中には偶然の産物や間違いからたどり着いたものもある。本書はそんな間違いや失敗から花開いた科学の成果を紹介する一冊だ。

 「失敗から生まれた物理学」に始まり、「化学」「医学・生化学」「発明」「食品」「失敗に終わった兵器」の各分野で、それぞれ「錬金術」「人工甘味料」「ペニシリン」「万年筆」「清酒」など6~8つの発明について書かれている。

 例えば人工甘味料「サッカリン」の誕生秘話。化学実験をしていた研究者・ファールバーグはある日、疲れて手も洗わずに帰り、そのままパンを食べたという。するとパンが甘いことに気付き、研究室でいじっていて手に付着した物質が原因だと知ったことから生まれた偶然の産物だった。

 このような発見・発明の裏にある研究者の姿が垣間見えるエピソードが、科学的解説を踏まえて明かされる。

 (C&R研究所刊、2453円)

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