創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です

　ロシアによるウクライナ侵攻が発生してから約９カ月。未だ終結の兆しが見えないが、そもそもなぜ侵略行為が起き、ロシアはウクライナの首都キーウ攻略に失敗したのか。陸自生徒教育隊出身で軍事アナリストの著者が、戦争から国を守る“戦争力”の実態を論じる。

　著者は冒頭からウクライナ侵攻に言及。経緯を振り返った上で、侵攻が起きた複数の要因を挙げ、ロシア軍が苦戦している原因も明らかにする。

　さらに、フィリップ・デービッドソン米インド太平洋軍司令官（当時）の「６年以内台湾有事」発言を「軍事的根拠がない」と一刀両断。自衛隊高官ＯＢもその論調に影響されている点に警鐘を鳴らす。

　このほか、日本防衛の要である「日米同盟」の実態を論じる中で、自衛隊を「一点豪華主義の軍隊」と評し、そうなった背景を解説。戦後最大級の安保上の難局に直面する日本が、実現するべき事柄を提言する。

　著者が戦争に関する素朴な疑問を一問一答形式で次々に解決するさまは痛快。ウクライナ侵略が継続中の今だからこそ、読んでおきたい一冊だ。

　（ＳＢクリエイティブ刊、１０４５円）