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ブックレビュー

シリーズ 戦争学入門 航空戦 フランク・レドウィッジ著、矢吹 啓訳


 防衛研究所の石津朋之戦史研究センター長の監修による「シリーズ戦争学入門」の新刊。エア・パワーが重要な役割を果たした戦争を振り返り、その戦略的意義、理論や実践、技術的発展を考察、解説している、

 著者はポーツマス大学ビジネススクールの法学・戦略上級講師で法廷弁護士。英空軍士官学校、同ハルトン基地でも教鞭を執っている。

 まずエア・パワーの4つの役割を空の管制(制空)、情報収集・監視・偵察、攻撃、機動力と定義。その上で航空戦が戦局を左右した数々の戦争を時系列で分析しているため、エア・パワーの役割や技術の変遷が一読して理解できる。

 1911年11月1日、イタリア陸軍航空大隊のジュリオ・ガヴォッティ少尉が単座機で飛び立ち、トルコ軍を目がけて4発の手榴弾を投下。世界初の爆撃機パイロットとなった。以後、第一次、第二次世界大戦からイラク戦争まで、時代を経るに従ってエア・パワーの技術の進歩が戦争の態様を大きく変えてきた。

 本書ではその延長上にあるドローン、サイバーにも言及。シリーズ名のとおり、入門書として最適な一冊だ。

 (創元社刊、2640円)

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