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ブックレビュー

「戦後日本政治史―集団的自衛権 を巡る論争史の検証を通じて―」 里永 尚太郎著


 戦後日本の学校教育では教わることも、学ぶこともなかった我が国の安全保障政策――。だが、ロシアによるウクライナ侵略が現実に起き、世界の安保環境は厳しさの一途をたどっている。

 本書は、第2次安倍政権の集団的自衛権をめぐる議論とその政権運営に焦点を当て、中心的役割を担ったキーパーソンへのインタビューやヒアリングを通じて論点や見解の整理を行い、議論の核心に迫る試みだ。

 同著者による『集団的自衛権の行使―憲法・国際法・防衛法制・政府解釈と答弁を踏まえ、立ちふさがる諸問題を考察する―』(2022年4月)と、『安倍政権と集団的自衛権―キーパーソンが明かす内幕―』(2013年9月)=いずれも内外出版刊=の特別総集編として出版された。

 多くの政治家をはじめ、関係者の発言と見解を丹念に追って収録し、記録として残したのも特徴だ。

 著者は序章の中で、「過熱しがちな論争から冷却期間を経て、改めて理解を深めることを通じ、近未来に想定される憲法改正や台湾有事などの安全保障政策のさらなる論争の際に、その一助として寄与できれば幸いだ」と述べている。

 (内外出版刊、1760円)

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