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ブックレビュー

「川崎C―1」 文林堂著


 「世界の傑作機スペシャル・エディション」の第9巻となる最新号は、川崎重工業が生産した国産輸送機「C1」。

 1970(昭和45)年の初飛行以来、半世紀近く、31機という少ない生産数ながらも、高いSTOL(短距離離着陸)性能を持つ中型輸送機として、使い勝手の良さと抜群の信頼性で空自空輸戦力の一角を担ってきた「C1」だが、現在では順次、用途廃止を迎えており、現存の7機も数年以内に後継の「C2」輸送機に更新され、完全退役となる予定だ。

 本書は消えゆく「C1」への労いとエールを込めて、「C1」の誕生秘話や運用中の姿、開発や運用当事者の声、数々のスペシャルマーキング機を捉えた写真など、同機の輝かしい歴史を凝縮した167ページに及ぶ完全保存版として構成。航空写真家の赤塚聡氏による美しい写真と詳細な解説記事なども見どころの一つだ。

 「YS11」を成功させた日本の航空工業界がターボファンを動力に持つ輸送機として設計に挑み、当時の政治的制約に縛られながらも、与え得る多くの新技術を導入した「C1」の魅力を余すところなく紹介している。

 (文林堂刊、2860円)

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