創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です

ブックレビュー

「図解でよくわかる! 北朝鮮軍事力のすべて」 西村 金一著


 核兵器を手放したウクライナはロシアからの侵略を許し、ミサイルを多用した攻撃を受けている。本書は今年度もハイペースで各種ミサイルの発射実験を行う北朝鮮が、この状況からどのような教訓を得て軍事力を整備してくるのか、日本に迫る脅威を冷静な分析でまとめた一冊だ。

 防衛省・自衛隊で情報分析業務に長く従事した著者は、北朝鮮が公開する写真は実践的な戦術行動を無視した様子が見られることなどから、著者はこれらが合成写真である可能性や事実を誇張したものであると分析する。

 ただし、国際社会から経済制裁を受けながらも、勝ち目を追求できる分野の兵器には集中的に資金を投入。ミサイルだけでなく、地上軍や防空装備においても近代化を進め、欠陥を一つ一つ克服しているという。それでも残る米韓との戦力差を逆転させるため、サイバーや小型無人機などを駆使し、「新たな方法」で南侵への問題を解決する時期も近いと指摘。

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)や極超音速ミサイル、そしてそれらの弾頭に搭載する核兵器の小型化実現も間近に迫っている。一連の動向について偽情報に惑わされずに状況を判断するために、継続的な事象の観測と客観的な情報分析の重要性を訴えている。

 (ビジネス社刊、1760円)

最新ニュースLATEST NEWS