創刊70年を迎える『朝雲』は自衛隊の活動、安全保障問題全般を伝える
安保・防衛問題の専門紙です

　「人にやさしくある」ためにはどうすればいいのか。そして「皆が幸せである」ためには何が必要か――。

　本書は「本当のやさしさとは何か」について、著者の体験やさまざまなエピソードから紐解き、新しいリーダー像を提示する。著者はこれまでいくつものプロジェクトを手がけてきたシステム開発のプロジェクト・マネージャーだ。

　手がけた案件の中には、「クライシス・プロジェクト」と呼ばれる、「火中の栗を拾う」ような誰もやりたがらないものもあった。それらを成功に導く秘訣として、著者は「人がやさしくあれる空気づくり」を重視する。

　具体的には、皆のデスクに散乱している空のペットボトルを片付ける、あいさつをする、声をかける、そして一人ひとりに寄り添い言葉に耳を傾ける、といったことだ。リーダーとして上から目線になることなく、あくまで相手と同じ目線で共に問題解決にあたる姿勢を貫く。

　著者は、「誰もが心の奥底に持っている『やさしさのスイッチ』を押すことができれば、人は今よりも幸せになれる」「そのカギはわかり合うことだ」と説く。仲間と働くことの意味を通して、人生で本当に大切なものに気づかせてくれる一冊だ。

　（コスミック出版刊、１４３０円）