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ブックレビュー

「インテリジェンスで読む日中戦争」 江崎 道朗監修、山内 智恵子著


 本書は、トランプ政権でポンペオ国務長官の主要な対中政策アドバイザーを務めた中国の専門家マイルズ・マオチュン・ユ教授の2つの著作について、山内氏がわかりやすく解説を加えたもの。評論家の江崎氏が監修した。

 ユ教授の著作は日中戦争期の連合軍による対中軍事作戦と第2次大戦中やその後の中国大陸における米国をはじめとするインテリジェンス機関の動向の研究がテーマ。

 江崎氏はアメリカの対中政策に関しては、およそ半世紀近く好意的、宥和的だったと語る。そこには「共産党政権の中国経済支援を行い、経済的に発展していけば、いずれ民主的国家になってくれる」との淡い幻想があった。中国の覇権主義的なふるまいに警戒感を示し、「ライバル」と見なす強硬政策へと大幅転換したのはトランプ政権になってからだ。

 山内氏は、アメリカが対中政策の変更に併せ、過去の歴史を学ぼうとする姿勢が伺えるとしながらも、日本は同盟国アメリカの対中戦略に対し、過去の歴史的背景までも踏まえて徹底的な調査・分析を行い、問題があれば是正する役割を担うべきと訴える。

(ワニブックス刊、1540円)

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